過去ログ


衝動シリーズ

【爆発】
 従業員のあるミスで、とある研究所の一部が爆発した。
 爆発すると同時に大切に保管されていた、人間を狼男化させる非常に危ないガスも空中に出ていってしまった。
 そのガスは空高く上がっていくことなく、地面を這い続けるタイプのタチの悪いものだった。
 ただちにその町に避難勧告が出された。
 町の男たちは地下の避難所にひとまず避難することになった。

【狼男】
 爆風の影響でそのガスが一番初めに届いた人間がいた。
 健と明彦と浩介だった。
 彼らの一人、健が最初に体に異常を起こし始めた。
「ううっ……!」
 と、地面にうずくまった。異常なほど汗が流れており、体温は急上昇していた。
 他の二人もほとんど同じような症状が出ていた。
 そのとき、体内に入ったガスの効果を抑えるワクチンを持った男二人組が車に乗って三人のもとへやってきた。
 ワクチンを打ってもらった健と明彦と浩介の症状は一時おさまったかのように思えた。
 車に乗せてもらい避難所へ移動する最中、健の身体にふたたび異変がおき始めた。
「はあ、はあ、はあ、」
 次に明彦が、そして浩介にも異変が起きる。
 三人はあまりにも大量のガスを吸い込んでいたため、もはやワクチンを打っても手遅れだったのだ。
 運転席と助手席に座っている男二人はその異変に気づいていない。あたりの様子を見るのに必死になっていた。
 後部座席に座っている健と明彦と浩介の肉体はみるみるうちに変化していく。
 痩せていた身体は、大量の汗を流しながら変貌を遂げようとしていた。
 まず胸板はミシミシと音を立ててゆっくりと盛り上がっていき、筋肉の厚みを増していった。
 Tシャツを着ていたのだが、Tシャツを着ていても胸筋のラインがはっきりとわかるほどに胸板は厚くなっていった。
 次に腹筋が割れていった。ただ割れるだけでなく腹筋の一つ一つが筋肉の膨らみを持っていた。
 筋肉で肉体がどんどん大きくなっていってるのを感じる。
 肩に筋肉が盛り上がると、着ていたTシャツは破けた。 肩幅が広くなっていき、細かった腕も逞しく太くなっていく。
 脚も筋肉で一回り大きくなった。
 自分の肉体が凄くなっていく快感はすさまじく、服が筋肉の盛り上がりで破ける瞬間は立て続けに「うっ、うお、ぉっ…」と射精してしまった。
 ジーンズの股間を異様に盛り上げるペニス。健はジーンズを下げるとそこで怒張しているものに驚いた。
 こんなにでかいんだっけ、俺のチンポって……。
 何もしなくてもペニスは太く長くなっていき、それによって強烈な快感がやってきていたのだ。筋肉だけでなく、性器までもがどんどん逞しくなっている。
 そこで肉体の「進化」はいったん止まった。
 運転席と助手席の男が振り向いたときには、さっきまで痩せた身体だった健と明彦と浩介が、何ヶ月もジムに通いプロテインを飲み続けることで鍛え上げられたような筋肉質な肉体になっていて、しかもお互いを逞しいペニスで犯しあっている様子を見て絶句した。
 後部座席は精液と汗にまみれている。
「うお、うおっ、うおっ!」
「うっ、うっ……」
「イクっ、うおおっ、おおっ」
 その後、その様子を見て絶句していた男二人が犯されたのは言うまでもない。

【避難】
 女たちはそのガスを吸うと身体が痺れて動きが鈍くなるが、避難するのには大して支障は出なかったため、他の町に隔離された。
 その町だけに特殊なバリアを張られる作業が大急ぎで行われ、大量のマスクが支給された。マスクをすればそのガスの効果を80%近く抑えることができるからだった。

【射精】
 爆発した研究所の周囲にいた男たちはワクチンを打ってもほとんどが手遅れで、狼男に覚醒してしまっていた。
「俺ら、なんかすげえ体になったな」
 と浩介は言った。
「ああ。いきなり身体がかーって熱くなって、そしたら筋肉が盛り上がってきて何度もイっちまって、それでチンポまででっかくなってるんだからな……」
 と健は答えた。
「なあ、俺、肉食いたいんだけど」
 そう明彦が言うと、
「あ、俺も」
「そういえば腹減ったな、腹」
 浩介が犯した男に挿入していた特大ペニスを抜くとドクドクドク…と精液があふれだした。
 三人は食料を探しに町を出た。研究所の爆発で建物が倒壊して、その下敷きになっていた女を三人でも貪り食った。人間の肉ほどうまいものはないと三人は感じた。快感すら感じるようになって食べるたびに、
「あぁッ」と射精した。
 人間の肉を食べると三人の肉体はさらに狼男へと近づくように爪や眼光が鋭くなった。
 車のあった場所へ戻るとさっき犯した男二人が、
「うぉぉぉぉおおおおおおっっ!」
 と叫んでいた。彼らの肉体はたちまち「進化」を遂げ、盛り上がった筋肉質な肉体と逞しい特大ペニスを手に入れた。
性欲が止まらず浩介は自分の勃起した太く長いペニスを男のアナルに捻じ込み、激しく腰を振りはじめた。

【理性】
 俺は研究所爆発で狼男になってしまったが、他のやつらと違って人間としての理性をきちんと保っていると思う。
 俺の名は雅紀(まさき)、という。
 とめどなくあふれ出す性欲も、ひたすらオナニーをすれば俺なら食い止めることが出来る。
 食べ物は他の狼男のように人間の女を食べたりしない。自分が人間だったころと同じ食べ物を食べている。
 月の見える夜以外は人間の姿になっているため、俺はそのときを「人間らしく」暮らした。
 他の狼男のように理性を失ったようになるのは、まっぴらだった。本能のままに動くなんて、ただの獣だ。
 ただ、筋肉質で逞しい肉体になれたことには、感謝している。
 鏡の前では思わずうっとりしてしまうほどだ。
 夜になると狼男の姿になってしまう上、筋肉が盛り上がってからというもの、体が大きくなったので体のサイズに合う服がないため常に全裸で行動している。
 そして、俺はいま、親友の拓夢(たくむ)が狼男に犯されそうになっているのを防ごうと戦っている。
 親友は俺のようになってほしくなかった。
 その狼男の顔面を殴り、ひるんだところをみぞおちに蹴りを入れる。いまは昼なので、相手も人間の姿をしているが、だからといって情けはまったくない。
「早く、早くその車に乗って逃げてくれ!」
 俺は100メートルほど離れた先にある車を指差して、親友にむかって叫んだ。
「まさ……き……?」
 と呆然となっていた親友は、しばらくしてから、はっとし、何も言わずに車へと必死で走っていった。
 しかし、相手の狼男はほとんどダメージを食らっていなかったらしく、すぐ立ち直った。
 これが奴の……人間の血を貪っている狼男の力のようだ。
 直感で「負ける」と思ったが、それでも立ち向かった。
「手加減しすぎたぜ」とその男は言った。「お前に、狼男の本当の快感を教えてやる」
 瞬間、筋肉質な男だったはずが、一気に狼男の姿にへと変貌した。自在に変身できる、かなり強い狼男のようだ。
 俺はなにもすることが出来ず、狼男のペニスを受け入れるしかなかった。
 俺の中に狼男の特大ペニスが挿入される。
 電撃が走ったような快感に、俺は思わず叫んでいた。
「うおおおおおおおォォォォォ??!」
 気がつけば俺は狼男に変身していた。
「う、うぐッ、うおぉッ……」
 俺を犯している狼男の盛り上がった胸板が背中に密着してきて、思わず興奮した。ただでさえビンビンに勃起していた俺は、「うぉ」と声をあげる。
 狼男は激しく腰を振った。
「うっ、うッ、うッ、」
 そして、俺の中で精液が大量に放出された。
 ビュッ、ビュビュッ、と俺も同時に射精を繰り返す。
 気持ちいい……。
 そして俺は、「狼男の本能」に、目覚めてしまったようだ。親友であるということはどうでもよくなり、俺は親友という名の「エサ」を追いかけ、犯した。
 相手をきつく抱き締め、無理矢理ペニスを挿入させた。俺を犯した狼男と一緒になって、交代しながら挿入した。

【食料】
 避難所の中には大量の食料が確保されているが、それだけ大勢の人が避難所に収容されているため、食料はみるみるうちになくなっていった。
 食料を確保するためには狼男が徘徊している街へと出て、食料をとってこなければならない。
 他の街から食料を取り寄せることもあったが、ほとんどの街が危険を恐れて食料をよこしにこなかった。
 狼男の徘徊している街に食料を提供しに行けば、狼男に襲われるかもしれないことが重々わかっているからだった。
 次々に女は他の街に逃げ込んだ。
 男はそれができなかった。
 男が狼男化するガスをすっていたら、かなりの危険が起きる可能性があったためだった。
 だから男は他の街へと逃げ込もうとしても拒否された。

【願望(1)】
 俺は狼男をバリアの中にいる間ずっと見ていた。
 狼男の筋肉質な肉体を見るたびに、俺は自分では抑えられないほどの性欲が溢れる気がして、激しく勃起し、何度も射精してしまう。
 俺はどうやら人一倍性欲が旺盛で、そしてゲイだった。
 俺の名は真治(シンジ)、という。
 狼男を見るたびに、猛烈に「狼男になりてぇ」と思う。
 あの強靭な肉体、逞しいペニス……。
 考えるだけで俺のチンポは反応してしまう。
 そんな俺の気質に周りの人間も気づいているらしく、そいつらは俺をよく監視している。一定の操作をしないと中から外に出られないため監視しても意味がないと思うのだが。一定の操作は管理室、という厳重に守られている部屋でバリア濃度を下げる作業をおこなわなければならないものだった。
 俺が思うに、狼男になると筋肉が盛り上がる理由は、狼男に変身する際に肉体に非常な負荷をかけるためだ。その負荷にたえられるようにするためにだ、と思う。
 狼男になりたい……
 しかし、狼男になるということに恐怖も覚えていた。

【逃走】
 俺はいま、親友である雅紀に犯されている。
 雅紀は狼男だが、俺を襲おうとしたある狼男から俺を守ろうとして、その狼男に犯された。狼男に犯された雅紀は、狼男としての強烈な快感を知ってしまったため、「本能」に目覚めた。
 その結果として俺は雅紀に犯されている。
「や、やめッ、ろッ……」
 そういうと、雅紀はますます腰を振り、刺激した。
「はあ、はあ、はあ、はあ、」
 雅紀の舌が俺の口の中に侵入してくる。相手に抱き締められ、俺はゲイじゃないはずなのに興奮してしまった。それほど雅紀は魅力的な男になっていた。
 雅紀の特大ペニスがアナルに無理矢理挿入されたときは、恐ろしく痛くて、血も若干出た。
 しかしそれが五分ほどで「気持ちいい」という感情に変わるのは驚きだった。
 いくら気持ちよくても俺は狼男になるのは嫌だった。
 近くにバリアがあったため、隙を見てダッシュでバリア内へと向かった。
 心臓がバクバクして走っている間は生きている心地がしなかった。
 何故だか雅紀は俺を追いかけてこなかった。

【願望(2)】
 俺(真治)は半透明のバリアの中から外の様子を見ていた。
 狼男が人間の男を犯している様子が見えた。俺はそれだけで勃起した。
 他のやつらはそれに気づいていないらしく、俺は思う存分それを見てオナニーに耽ることができた。
 そのときだった。
 犯されていた人間が、なんとこちらのバリアに向かって全力疾走で走ってきているではないか。
 俺は思わず、
「あッ!」
 と叫んでしまった。
「どうしたんだ真治」
 比較的近くにいた男にいわれ、俺は、
「すみません、何でもないス……」
 と答えながら、こちらに走ってくる男に釘付けになっていた。
 狼男に犯された人間は、狼男になる。
(それだったらその男もこのバリアを通れないんじゃないのか)
 と思ったが、そこではっとした、
(狼男の精液は人間の男の身体に入って活動を始めるから、犯されてほぼ時間の経っていないときだと、バリアをすり抜けられるんじゃないか)
 と、俺が思ったとおり、その男はバリアをすり抜けてきた。
 男は若かった。息を切らして、ぜえぜえ肩を動かしている。
「た、助かった??」
 男はいった。
 俺は男から狼男について何か情報をききたくなかった。
 現在監視されていないことをいいことに、俺はその男を食料倉庫裏の陰に誘った。もちろん水をあげる約束で、だ。
 案の定、男は俺についてきた。
 男は名乗った。
「俺はタクムっていうんだ。水、ありがとな」
「ああ、タクムか。開拓の拓に夢、か?」
「そうだ」
 拓夢が水を飲んで一息ついたところに、俺は、
「さっき狼男に、その、ヤられてたじゃないスか。大丈夫なんですか?」
「見られてたのか」拓夢は、バツの悪そうに答えた。「正直、大丈夫じゃない。全裸だしな」
「すみません、服、ここにはないです。いや、あるだろうけど、今出て行ったら俺ヤバイんです」俺は素直にいった。
「ヤバイ? バリアの中なのに?」
「俺、狼男に冗談で憧れを抱いただけでそれで疑われてて」
「それはヤバイいね」拓夢は笑った。「でも、狼男になりたいっていうのは、実は本気なんじゃないのか?」
 俺はギクッとした。仕方なく、「そうです」と答える。
「狼男、か」
 と拓夢は上の空で言った。
 ペットボトルの水を全て飲み干した拓夢は、寝転んだ。拓夢のペニスを見て俺は僅かに性欲を抱いていた。全裸なのに、恥ずかしくないのだろうか。
 そのときだった。
「うっ……!」
 と拓夢は急に叫んだ。
 俺はニヤリと心の中で笑った。
 拓夢は、今になって体内に入った狼男の精液によって狼男になろうとしていたのだ。 ようやく狼男の性欲が、拓夢の体内で活動を始めた。
「ぅう、ううゥ」
 拓夢の犬歯が牙のように長くなる。
 全身からミシミシっという音がする。
 平らだった胸板は、胸筋が目に見えて盛り上がっていく。厚くなった胸板の次は、腹筋が割れ、腹筋の一つ一つに筋肉がついていった。
 肩に筋肉が盛り上がっていき、首も太くなる。腕も逞しくなり、尻も引き締まる。
 ペニスは激しく反り返り、肉体が進化する快感で射精するたびに長く太くなってゆく。眼光は鋭くなり、身長も若干高くなった。
 急激な肉体の進化は拓夢に最高の快感を与えていたようで、ピュッピュッピュッと何度も射精を繰り返す。
「う、う、うおおおおおおおおぉぉぉぉッ!!」
 男らしく筋肉質になった拓夢の肉体を余すところなく銀色の剛毛が覆っていく。
 鼻が突き出し尖がった耳が生えるなど、骨格もすべて狼男のそれへと変化していく。
 そして、一通りの「進化」を終えた拓夢は、性欲を煮たぎらした逞しく立派な狼男へと完全に変貌を遂げていた。
 拓夢は、本能に突き動かされるまま目の前にいた真治を激しく、何度も犯した。

【性交】
 食料倉庫裏に俺(真治)と拓夢はいた。
 狼男に変貌を遂げた拓夢を見て、俺のペニスはビンビンに勃起してしまっていた。
「俺は……俺は……どうなちまったんだ」
 と拓夢は言った。拓夢は続ける。
「何だか、すげー気持ちがいいんだ。こんなムキムキにいきなりなっちまって、チンポもでっかくなって……。それになんかさ、俺、ゲイじゃないはずなのに、真治、お前を見てると、ムラムラしてくるんだ」
「いいぜ、俺を犯せよ」
 俺は拓夢のカチンコチンに勃起した特大ペニスを口に含んだ。熱を持った大きなペニスに俺は興奮して、舌先でペニスを弄った。
 すると、大量の精液が飛び出してきた。
「クソッ」と拓夢は言って、狼男の剛毛が覆いつくしている筋肉質な肉体で俺を抱き締めた。毛がチクチクささってくすぐったいと同時に心地よかった。「俺、狼男になんて絶対なりたくねえなんて思ってたのに、今じゃ、なれてよかったなんて思ってる……おかしいだろ」
 そういって拓夢は俺のアナルに長く太いペニスを挿入してきた。
「うおッ!」
 と言って、早速拓夢は射精する。
 ズブズブズブ……と拓夢のペニスは俺のアナルに埋まっていく。特大ペニスの衝撃は凄まじく、俺は痛さを快感に声を失った。
「うっ、うっ、うっ」
 と拓夢は言いながら腰を振りはじめる。
「うぐっ、ぐぐ、うおっ……」
 俺も射精してしまう。
「イク、イクっ」
 と拓夢はもう何度もイっているのというに、何度もそう繰り返す。
「うおっ、うおおおおおおおおっ!!」
 拓夢は激しく何度も射精した。ドクドクドク……と俺の中に拓夢の大量の精液が流れ込む。あまりの精液の多さに俺のアナルから溢れ出した精液を、拓夢は丁寧に舐めた。
「あゥっ! うぐっ、うおおおおぉぉぉぉ!!」
 俺は快感のあまり叫んだ。こんなに気持ちいいのは初めてだったから、俺のチンポはいつまで経ってもカチコチに勃起していた。
 狼男に変貌を遂げた拓夢の精液が体内に入ると、だんだん、体が熱くなってきて汗が噴出してきた。

【発見】
 康隆(やすたか)は今日食料補充当番だった。
「めんどうくさい」と康隆はため息をつき、荷台に食料を積み上げてそれを食料倉庫へと運んだ。
 食料倉庫の中で食べ物を整理したりしていると、
「うぐっ、ぐぐ、うおっ……」
「イク、イクっ」
「うおっ、うおおおおおおおおっ!!」
 という声が薄い壁を挟んだ向こうから聞こえた。
 おかしいな、と思った康隆は声の発生源を探すため倉庫の周辺を歩くと、倉庫裏で真治が一匹の狼男に犯されているところを発見した。
 驚きのあまり声が出なかった。
 狼男がバリア内にいるということより、真治が犯されている、という衝撃のほうが大きかった。

 康隆はまっさきにそこから逃げた。
 狼男がバリア内にいること、そして、その狼男に真治が犯されていることをみんなにを知らせた。
 どよめきがまず起こり、
「やっぱり真治は狼男になりたかったんだ、ちゃんと見張らないからこんな一大事になる」
 だとか、
「狼男がバリアん中にいるってどうなってんだよ、おかしいだろ、なあ? なあ?!」
 という声が次々にあがる。
 それがおさまると、みんな無言で団結したように思われた。
 男達はバリア内の平穏を守るため、それぞれ武器を手にし、狼男の退治に向かった。
 急いであらゆる刃物を用意し、狼男がバリア内にいる、との通報を警察にしたり、となり町に救助要請を出したりした。
 子供や老人は特別に設けられた地下のシェルターに避難した。

【突撃】
 武装した大人の男たち、ざっと三十人は食料倉庫裏へ突撃した。
 そこにいた一匹の狼男は、自分達が想像していたものより遥かに頑健な肉体をしていた。
 狼男の前には、浅黒い肌をした筋肉質な肉体と逞しいペニスを持つ男もいた。
 ……真治だった。
 狼男に犯され、真治は自分でも信じられないほどの筋肉質な肉体と逞しいペニスを手に入れたのだった。
 そこには貧弱な体で弱々しい雰囲気を漂わせていた以前の真治の面影はまったくなくなっていた。まるで別人だった。
 目つきも鋭くなり、顔も凛とした感じだ。
「真治……なのか?」
 武装した大人に紛れ込んでいた真治の友人伸宏(のぶひろ)は言った。
「ああ、俺だ、真治だ」
 真治は笑いながら答えた。
「…………」
 伸宏は絶句して真治に視線を釘付けにした。
「こっ、」
 武器を持った一人の男が言った。
「殺せ!」
 そういって叫びながら精一杯鉄パイプを狼男になった拓夢の頭上へ振り下ろした。
 鉄の鈍い音がして、拓夢の頭からは少しだけ血がにじんでいた。
「や、やった!」
 その男がそういったあと、他の男達もいっせいに拓夢を殺しにかかった。何度も頭を包丁で叩き、心臓を鉄の鋭い杭で貫き、斧で袋叩きにした。
 拓夢は大量の血を流し、地面に倒れた。
 しかし拓夢は平然とした顔をしていた。
「こいつ、ま、まだ生きてるのか?」
 伸宏が震える声で言った。
 拓夢は顔を動かしギロリと伸宏を睨んだ。
「あっ……」
 あまりに鋭く恐ろしく冷たい目に睨まれ、伸宏は尻餅をついて尿を漏らした。
 拓夢から大量に流れ出した血が体内に吸収されていく。傷口のあっという間に完治した。あまりに異様な光景に男達は声も出なかった。ただそのようすを眺めていた。
 俺達はこんな化け物と闘おうとしていたのか、と伸宏が思った瞬間、拓夢は跳ね起き、鋭い歯と爪、そして驚くべき身体能力であたりを血の海にした。男達の死体が散乱としている。
 ニヤ、と拓夢は笑みを浮かべた。不気味な笑みだった。
 人間としての拓夢は死に、狼男としての拓夢がここに誕生したかのように思われた。
 真治はおびただしい血を散乱した死体を見た瞬間、興奮して死肉を貪った。人間の肉を貪れば貪るほど真治の姿は獣化していった。
「うっ…うっ……ううっ…うおおおおぉぉぉぉぉ!!」
 筋肉がさらに盛り上がり逞しくなり、全身を剛毛が覆っていく。股間に屹立する特大ペニスはその進化を象徴しているかのようだった。
 十人の男の肉と血を啜った時点で、真治は立派な狼男へと変貌を遂げた。
「アオオオオオォォォォーーーン!!!」
 バリア内にその雄叫びは響いた。
「はは、はは、はは、ははは! これで俺も、狼男になれた」
 真治が沸きあがる圧倒的な力を感じた。

【研究】
 増えすぎた狼男を殺すには、もはや人間では不可能と言われるようになった。
 バリアが破られてしまうのも、時間次第だった。
 狼男と同じ区域にいた人間は一人残らず喰われてしまっていた。
 人間を喰う行為は狼男にとってただの食事に過ぎないので、そのことにより狼男の中に罪悪感が生まれるはずがない。
 目には目を、歯には歯を、狼男には狼男を、だ。
 その考えが人々の間に生まれ、ひそかに研究がおこなわれるようになっていた。
 狼男に対抗するため、狼男のパワーに近いものを得ることが出来る「半狼男」の研究だった。
 半分=ハーフ
 狼男=ワーウルフ
 により、半狼男は「ハーウルフ」と呼ぶことになった。
 「ハーウルフ開発研究」は始まったばかりではなかった。
 一つの町が狼男よって壊滅状態にされる前から、おこなわれていた。
 狼男の精液や血液から採取したW−KL細胞という、人間を狼男に変える細胞の研究がされた。
 最近、その資料が山奥のとある研究所から大量に見つかったらしい。
 その資料のおかげもあってか、研究はかなりの勢いで進んでいた。
 研究が極秘裏におこなわれた一番の理由は、被験者を得るためだった。二十歳程度の健康的な若い男をクスリで眠らせ研究所に運び、研究の対象にしていたため極秘にするほかなかったのだ。
 今は二十人ほどの若い男がストックとしていた。

 一人目の研究結果。
 狼男の精液を大量に飲ませ、まず、狼男がどのように生まれるのかを確かめるのに一人は使われた。
 そこから狼男のメカニズムのようなものがわかるかもしれない、と研究者たちは思ったためだった。

 その研究者のレポートには、こんなことが書かれていた。

《 1、狼男変身研究レポート

わたしは、人間が狼男になるまでの変化を記録することにした、
男が現実にいるとは半信半疑だったが、これを見た限り信じないわけにはいかなかった。
男に狼男の精液を飲ませて数十秒後、男は大きく目を見開いた。
身体は痙攣したように小刻みに震えており、口からはよだれが垂れていた。
目の焦点はきちんと定まっておらず、あちこちを向いている。
男のペニスは徐々に勃起してくる。
「あ……ああ、ああぁああぁ……」
という声を出したあと、
「うぎゃああぁぁぁぁぁァァァァっ!!」
と叫んだ。
「痛いっ、痛いっ」
叫び声は続いた。
男の裸体からは汗が大量に噴出してきた。
男は何度も射精した。射精するたびにペニスがそれに反応し、ビクンッ、と動き、同時に男のペニスは急激に長く太くなっていった。狼男になる人間はみんなもともと特大ペニスの男だ、と世間では言われているが違った。狼男になることで、特大ペニスになるのだ。
男の身体はどんどん、引き締まっていく。
極限までシェイプアップされた肉体に、今度は筋肉が盛り上がっていく。
「うお、ォ、うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!」
男は快感なのか苦痛なのか、叫び声をあげながらピュっピュっと射精を繰りかえす。胸は厚く、ミシミシ、という音を立てながら筋肉が盛り上がっていき逞しい胸板を形成した。
腹筋は六つに割れた、一つ一つの腹筋に筋肉が盛り上がり凹凸が出来た。
肩にも筋肉がつき、肩幅も広くなっていく。
背中にも筋肉が盛り上がり、腕は逞しく太くなり、足も筋肉で太くなっていった。
男の肌はさあっと小麦色に変化していき、目は深紅に染まり、凶暴な目つきになり、牙がメキメキと生えた。
ペニスの大きさに追いつくように陰毛もふさふさになり、髪の毛も若干長くなった。
爪は鋭くなり、性欲をにたぎらした獣のようだった。
「はあ、はあ、はあ、はあ……」
次は骨格が変化し始めた。
わたしは、そこで見学するのをやめた。
研究がしたくてたまらなくなってきたからだった。
 わたしのその研究を、息子である雄貴でおこなうことにしていた。
雄貴はいま既に存在している狼男より数倍勝る存在になるはずだ。
 栗野雅彦》

 そこでレポートは終わっていた。
 他の実験体をつかって狼男の精液を何倍にも薄めたものを飲ませても、結果が同じだとわかった。感染力が凄まじいがわかった。
 ようやく二十人目にして、「ハーウルフ」の作り方がわかったのだった??。
 しかしその研究所はバリア内に入ってきた狼男に発見されるのを防ぐため、膨大な資料を一箇所に集めて隠した。
 資料を他の場所に持ち運ばなかったのは、その内容を別の誰かに知られたら、研究者たちが全員処刑されかねないからだった。

【覚醒】
 俺(伸宏)は奇跡的にあの場から逃れられた。
 偶然逃れたところが、今は廃墟と化している研究棟の一つだった。
 狼男から隠れようと思って入り込んだ大きな箱のようなところに、偶然、ハーウルフについての膨大な資料があった。
 「「ハーウルフ」実験結果」と「狼男変身研究レポート」を俺は読んだ。
 そこにはこんなことが書かれてあった。

《 2、ハーウルフ生体実験結果

ハーウルフを作るのは実に簡単だとわかった。
狼男の精液にあるものを二つ加える。
人間の唾液と、少量の自分の血。それを狼男に精液に加えるだけでいいのだ。
その唾液と少量の血を混ぜた狼男の精液をハーウルフ化させたい男に飲ます。
その男のペニスが勃起し、特大ペニスになり、全身の筋肉が発達したのを確認する。

そのあとに射精した男の精液を出来るだけ多く採取する。
そのとき男は人間としての精液を体内から出しているのだ。
人間としての精液をすべて出すと完全な狼男になってしまうので、それまでに採取した人間の精液を大量に飲ませる。
そうしたら完全な狼男になることを防げ、逞しい肉体を持つ男が誕生する。
ハーウルフだ。

ハーウルフは、完全な狼男ではないから、人間としての理性を保っていられる。外見も人間のままだ。ただし筋肉質になった人間のまま、という意味だ。
完全な狼男の力はさすがに手に入れることは出来ないが、ハーウルフを何人も生み出せば狼男を十分対抗できるのである。
ハーウルフになると、狼男に匹敵する力を手に入れることが出来るが、性欲が人間のときより極端に高まり、肉類をほしがる傾向があらわれるので、その二点、注意が必要である。
 栗野雅彦 》

 というものだった。
「…………」
 俺はしばらく考えた。
 そして、すぐさま自分の肉体を使って実行することにした。
 二人以上でおこなわなければ危険だが、俺にそんな時間はなかった。
 狼男に見つかり、喰われるのを待つなんてまっぴらだった。

 俺は服に付着していた狼男の精液を、近くにあった割れたビンの破片にのせ、そこに自分の唾液をなるべくたくさん混ぜた。
 そのビンの破片で自分の手首を切り、その血も唾液に混ぜる。 これを飲んで、もし失敗すれば俺は完全な狼男になってしまう。
 しかし、成功すると俺はハーウルフ、狼男と戦う力を手に入れることが出来る。 いざとなると俺は躊躇ってしまった。
 しかし、ここままでは現状は何も変わらない……殺されるのを待つのは、まっぴらだった。
 勇気を出して、その液体を俺はゴクンと飲み込んだ。
 ねっとりとした液体が俺の喉をつたっていくのがわかった。

 俺はその液体の効果があらわれるまで、ヒマをつぶすのに、もう一枚あったとある研究者のレポートを読んだ。
 そのレポートは、短かった。

《 栗野雅彦氏の策略を暴く

栗野雅彦氏の二枚の研究レポートは、ここの研究室でおこなわれた実験の研究レポートではない。
栗野氏自身の山奥にある研究室でおこなわれている実験のレポートである。
栗野氏は息子の雄貴を自分の求める最強の狼男に仕立て上げたあと、その息子に殺され、死後犯されている。
つまり栗野氏の研究は成功していたのだ。
栗野氏は、強靭な肉体の狼男を作るのに没頭していた。
自分の作成した研究レポートが他人に読まれることを想定し、ハーウルフ作成方法と偽って、より強い狼男の作成方法を、二枚目の研究レポートに記している。
ハーウルフ作成方法とは、嘘である。
つまり、ハーウルフ作成方法は、より強い狼男の作成方法他ならないのだ。
栗田氏の偽の研究レポートで「本当の」ハーウルフ作成方法は大きな進展をしたが、わからず終いだった。
 山田幸二 》

「………………」
俺は愕然とした。
おどろいて、声も出なかった。
思考が、止まったような気がした。
俺は、栗田雅彦という男の策略にまんまとはまってしまったのだ!

そのときだった。
俺の体に変化がおき始めたのは……。

「うおおぉぉぉぉ……」
 全身から汗が噴出してきた。
 俺のチンポはビンビンに勃起していた。
 な、なんて気持ちいがいいんだ……。
 チンポの先には白濁した液体がにじんでいる。
「ぁぁぁああああああああ!!」
 激痛が瞬く間に全身を駆け巡る。
 体が燃えるように暑い。
 しかし服を脱ぐほどの余裕は俺にはなかった。
 ジーンズの股間を激しく盛り上げるペニス。
 ミシッ…ミシミシッ…ミシッ…
 という音を立てながら、俺のガリガリの肉体は変化しようとしていた。
「うぐッ、ううゥゥ…ッ!!」
 胸の筋肉が一気に肥大していく。
 分厚くなっていく胸板は、Tシャツを盛り上げた。
 腹筋がボコボコに割れ、腹筋の一つ一つの筋肉が盛り上がる。
 腕は一回りの筋肉がつき、肩幅が広くなり、背中にも肩にも筋肉が盛り上がるようについていった。
 ビリッ、ビリッ、ビリビリッ…
 上半身の筋肉がみるみるうちに逞しくなると、Tシャツが破れてしまった。上半身半裸になった俺の姿が、部屋の隅にある鏡に映った。
 さっきまでの俺と、まるで別人のような筋肉質な逞しい男に、なっていた。
 肉体の急激な進化は、俺にとてつもない快感を与えていた。
「うおッ、うおッ、」
 といいながら何度も射精を繰り返す。
 俺は息を荒げながら、ジーンズとパンツを脱いだ。
 パンツには俺の大量の精液がべったりと付着していた。こんなに俺は射精していたのか。
 しかし射精は止まらなかった。
 パンツを脱ぐと、特大ペニスが露わになった。
 俺のチンポは、特大と呼べるものに、変化していたのだ。
 勃起しているペニスは、明らかに前より長く太くなっていた。
 尻は引き締まり、足も筋肉が非常に発達し、俺はムキムキと呼ばれる体型にあっという間に変化した。
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
 目が深紅に染まり、爪はタカのように鋭くなり、牙が生えた。
 骨格が変化していき、逞しい筋肉を余すところなく銀色の剛毛がおおいつくした。
 あんなに嫌っていた狼男だが、とてつもない快感を味わってしまった俺は、今では狼男になったことに感謝した。
 栗野氏の言っていた「より強い狼男」である俺は、通常の狼男では起こり得ない進化が始まったらしい。
 それは、思考や理性を全て狼男の思考回路や理性に変化することらしい。
 通常の狼男は、まだ人間であった心の思考回路や理性を引きずっているらしいのだが、俺はそれらとは別格の存在になるらしい。興奮した。
 鋭い痛みの頭痛がして、床に倒れた。
「ッ!」
 床から起き上がると、俺は、世界が何もかも鮮明に見えた。
 俺は、人間としての理性を完全に失ってしまったようだ。狼男としての理性が生まれたのだ。
 快感の度合いも増した。
 射精を一回するのでもさっきまでとはまるで違う、発狂しそうなほどの快感がした。
 今度は身長が高くなっていった。
 骨がボキボキ音を立てているので本当なら激痛がするだろうが、「より強い狼男」になった俺はそんなもの感じなくなっていた。痛みの神経が切断されたように、痛みがなかった。
 171だった身長は、230にまで達した。
 通常の狼男を大きく上回る身長だ。
 その身長に伴いように、筋肉もさらに発達した。

【懇願】

 男達は自分が狼男に食い殺されるのを恐れ、狼男になることを渇望するようになった。

 狼男にひざまずいて「俺を犯してくれ!」と叫んでいる光景は当たり前のようになった。
 大体の男達は狼男に懇願するも、空腹に飢えている狼男に食い殺された後に犯されるのがほとんどだった。
 死姦(ネクロフィリア)された男の死体のアナルにべったり付着した狼男の精液を飲んで、狼男になった男もたくさんいた。
 そのことを知った狼男は、ネクロフィリアに使った死体をエサに人間を釣るようになった。
 狼男の人口は爆発的に増え、人間の数は逆に減っていった。

【崩壊】

 人間を守っていたバリアの効果はかなり減っており、それはもう役に立たなくなっていた。
 伸宏はバリアを破った主犯格だった。力は通常の狼男のそれを遥かに超えており、見た目からそれはありありとわかった。
 彼の食欲と性欲は並大抵のものではなく、人間だけではなく人間をあまり食べない狼男も食するようになっていた。
 伸宏の性欲はおさまるときを知らず、常にペニスは軽く勃起しているかカチコチに勃起しているかの二つだった。
 伸宏とのアナルセックスはおそろしいほどの快感をともなうため、失神してしまったやつもいた。
 伸宏はうしろから相手をガンガン攻め、絶頂に達しそうになった瞬間に一気に大量の精液をを注ぎ込む。一回ではおさまらず、5回程度繰り返される。
 どこからそんな精液と性欲があふれているのだ、と他の狼男でも驚くほどだった。人間にとってそれは言葉をうしなうほどの事実であった。
 伸宏は一日に20〜30回程度射精した。
 毎日酷使されているペニスは赤黒さを増し、さらに長く、太くなっていく。
 人間を食べるごとに肉体もさらなる進化と遂げていく。
 狼男の被害はひとつの町におさまらず、やがて日本全土へ広がっていった……。


続 衝動シリーズ

【狼男】
 研究所で狼男開発の実験がおこなわれていた。
 その研究所は後に爆発事故を起こし、狼男ウイルスが村を支配するのはいうまでもない。
 研究所が爆発するまでには、このような出来事があった。

 正樹が大学の帰りに後ろから見知らぬ男に口を塞がれ、そのまま車の中に入れられた。
 車の中に入ると正樹は男に強く殴られ、意識を失った。
 目を覚ました場所は真っ白な空間だった。床も白、壁も白、天井も白……その異様な空間に圧倒された。
 右隅には頑丈にロックされているドアがあった。天井付近には手が入る程度の大きさの、非常に小さな窓がいくつもあった。
 窓からはどうみても脱出できそうになかった。
 正樹の他にもたくさんの同じくらいの年齢の男がいた。それぞれ困惑した表情で近くにいる人間と話し合っている。
 その中に最近大学を無断欠席している、親友の和哉もいた。
「和哉!」
 正樹は叫んだ。
「和哉、お前、ここに拉致られてたのか」
「ああ、お前もなんだな……」
 正樹はいまいち何が起きたのか把握できていなかった。というか、事実を飲み込めなかった。
「ここは、どこなんだ?」
「俺にもわからない。なんか、いきなり男に殴られて、それから……」
「俺もそうなんだ。意味わかんねえよな」
「ただ、」と和哉はいった。「どうやらここは相当ヤバイところらしいぜ」
「何でなんだ?」
「ずっとここにいたんだが、だいたい二時間おきくらいにあのドアから防護服っていうのか? その防護服みたいなので身を固めた男とかがライフル持って入ってきて、それで俺たちの中から適当に三人ほど選んで、そいつらと一緒にドアからまた出て行くんだよ」
「……確かにヤバイな、それは」
「だろ?」
 正樹はドアを見た。
 その、和哉のいう男たちがドアを開けた瞬間にそこから脱出できないだろうか? と考えた。
 しかし、そこから入ってくる男たちがライフルを装備しているとなると、それはいささか無謀に思われた。
 そのとき、
「アオオォォォォォォォン!」
 という狼の遠吠えが遠くから聞こえた。
 どうしてこんなところから狼の遠吠えが聞こえるんだ? 正樹は怖くなった。
 今度は「うぎゃああああああ!」という人間の悲鳴が聞こえた。
「ど、どうなっているんだ、外は……」
「わからねえ。ただ待つしかねえんだ」
「クソ!」
 正樹は床を殴った。

 三十分経っただろうか?
 どれだけ時間が経っているのかわからなかった。
 ドアが開いた。武装した男たちがドアから入ってくる。正樹たちの視線はその男たちに集中する。
「おらぁッ」
 とドアが開いた一瞬の隙を狙っていたらしい俺と同世代程度の男が、ドアに向かって勢いよく駆けた。
 同時に銃声があがった。
 ドアから脱出を試みようとしていた男は、武装した男たちに射殺された。
 一瞬のことだった。
撃たれた男は「あ??」と何が起きたのか理解できないような顔で地面に崩れた。
「あ……ぁ……ぁあ……」
 男の周りに血が広がっていく。そして息絶えた。
 それをみていた正樹たちは絶句した。
 銃殺された男の死体は速やかに処理された。部屋に閉じ込められていた俺たちの中の数人が部屋から連れ出された。
 次の日、目を覚ますと新しくこの空間にいれられたらしい若い男たちが一箇所に固まって周囲をジロジロと観察していた。彼らはまるで来たときばかりの正樹と和哉のようだった。
 一週間経ち、正樹と和哉はしゃべる気力も失ったようにぐったりしていた。
 最低限の食事が運ばれるだけの、何の刺激もない生活。
「俺たち、どうされるんだろ……」
 と正樹は顔に絶望を滲ませながらいった。
「わからねえよ」
 かえって来たのは和哉の力の抜けた声だった。

[正樹視点]
 その数日後、俺と和哉は部屋から出された。防護服を着た数人の男に銃を突きつけられながら。
 長い廊下を歩き、階段を下った先にあったのは薄暗い部屋だった。
部屋にはいくつものドアがあり、そのドアひとつひとつに俺たち一人ひとりが割り当てられた。
 ドアを開けた空間は非常に狭かった。
密閉されているような空間で、ドアも頑丈でまったく隙間がなかった。ずうっとここにいれば空気がなくなって死んでしまうような感じもする。
 天井が頭のすぐ上にある。壁には無数の小さな穴があけられている。
 しばらくした後だった。低く唸るような、機械音が続いた。天井に取り付けられていた赤い蛍光灯が光だした。サイレンの音が始まった。
 その不気味さに俺は身を震わせた。
 がちゃん、という音がして暗闇になった。サイレンの音もなくなった。
 うっすらと明かりがついたときには、壁の無数の穴から紫色のガスが噴出しているのに気づいた。
「な、なんだこれは」
 意識が朦朧(もうろう)としてきた。それがガスの影響であることは明らかだった。
 吐き気がして口を手で塞いだ。
「はあ、はあ、はあ、」
 室内はガスで満たされた。ひどく息苦しい。
「うッ……」
 なぜか全身が熱くなってきた。血液が凄いスピードで駆け巡って行くようだった。汗が出てきた。汗がぼたぼたと落ちた。
「あ……ぁあ……」
 喉がカラカラに渇いていた。
 体の関節が痛みだしギシギシと音がした。
 ペニスが激しく勃起した。
「うっ、ううっ、おおおぉぉぉっ」
 いきなり全身の筋肉がメキメキと発達していった。
 胸筋がミシミシといいながら盛り上がっていく。体操選手のような逞しい胸板に膨らむと、次は腹筋の一つ一つが筋肉で膨らんでいきボコボコに割れた。
 肩にも筋肉が盛り上がっていき足腰も鍛えられていく。身長も一気に高くなり脚は筋肉で太く強靭になり、腕も逞しくなる。
着ていた服がすべてやぶれてしまい、全裸になった。
「うおっ、うおおおおおおおぉぉぉっ!」
 き、気持ちいい……。あまりの快感に俺は叫びながら何度も射精した。自分の肉体がなぜかムキムキになっていき、俺は恍惚とした。
 ペニスがこれ以上無くビンビンに勃起していた。射精をする瞬間、ペニスはビクンと動き同時に大きさを増しているのに気づいた。
 気のせいかと思っていたが、何度も射精するたびに確実に大きくなっていった。
 ブシャッ、ブシャアッ、ブシャアアアアッ!! 俺はまた射精した。今までにない凄まじい射精だった。精液の量と勢いがハンパじゃない。俺のペニスは太く長い特大ペニスにへと変化した。
「うっ、ううッ」
 髪の毛の色が黒から茶色に変化した。
オナニーを繰り返していると陰毛がふさふさになっていくのに俺は気づいた。
 髪の毛は逆立ち、瞳孔は狼のようになった。牙が生えていき、爪はタカのように鋭くなっていく。
 体をみると体毛が濃くなっていた。体毛はみるみるうちに長くなっていき、全身の筋肉を余すところ無く覆い尽くしていく。
 ドクッ、ドクッ、ドクッ、という心臓が脈打つ音がする。
「うおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ??ッ!!」
 俺は叫んだ。
 骨格が変化していき、激痛がした。頭から獣の耳が生え、尻に異物感を感じ、触ると尻尾が生えていた。
「ハッハッハッハ……」
 どうやら俺は狼男に変貌を遂げたようだった。
 自分の狼男に進化した肉体を見て、俺は狂喜した。
 背中を当てていた壁が開いた。壁ではなかった。どうやらドアであったようだった。そのドアを出ると、霧に包まれた森があった。
 放送が流れた。
『お前は選ばれた存在だ。それをここで証明しろ』

【狼男(2)】
 ここで俺という存在を証明しろ、という放送を聞いて、俺は歓喜して叫んだ。
 深い霧の森がそこには広がっており、俺は駆けだしていた。
 狼男に変身した俺の身体能力は凄まじく、走るスピードも人間の頃とは比べ物にならないくらい速くなっており、しかもまったく疲れなかった。
 俺は森にいたほかの狼男たちを犯しまくり、時にはそいつを食べたときもあった。
 俺は他の狼男よりも性欲が強いらしく、その性欲が力の源となって、その貪欲さが力の強さでもあった。
 人間の状態に戻っても肉体は筋肉質のままで、狼男に変身するたびに陰毛や体毛が濃くなり、筋肉質になり、爪が鋭くなっていった。
 ある日俺はいつものように狼男とファックをしていたのだが、その相手の狼男とのファックが他の狼男より気持ちよかった。
 ずっとこの快感を味わっていようと、その狼男の足をへし折り、何日も連続して犯していると、最後にその狼男は俺の名前を読んだ。
「正樹か……」
「……?」
「お、まえ……その調子、なら、生きて、いける、な……」
 その声は親友、和哉の声だった。
 そして親友は死んだ。
 俺は、親友を犯して殺してしまった。
 叫んだ。絶叫した。どうしようもない絶望の念にとらわれた。
「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ??ッ!!」
 怒りに明け暮れた俺は、研究所を破壊してやろうと思った。
恨みはすべて研究所にあると思うようになった。
 それから毎日研究所を壊すことばかり考え、最初に俺が森に入れられた場所のドアを壊した。
 頑強なドアだったが、最初の頃よりはるかに強靭になった狼男である俺には訳が無かった。
 研究所まで登りつめると、ガラスの壁とよくわからない丈夫な物質で出来た壁を突き破り、ガス発生装置までたどり着いた。
 ガス発生素位置の周りに灯油を撒き散らした。灯油は地下室に保管されている場所から取ってきたものだ。
 火をつけると、そこは火の海になるより前に、爆発した。
 研究所が爆発し、ガスは街を覆いつくした。

……以上が、研究所が爆発し狼男化のガスが街を支配するまでに起きた出来事であった。

【狼男撃退チーム】
 研究所の爆発により狼男が発生してしまった。
 しかしまだ狼男化ウイルスがまだそれほど流行しておらず、狼男の数もかなり少ないときがあったのだ。
 まだ数の多くない狼男を撃退するべく、ハーウルフ計画が進んでいた。
 ハーウルフはヴェアウルフと名前が改められた。
 つまり、ヴェアウルフ計画だ。
ヴェアウルフとは人間の理性を保った状態で肉体を狼男のように強化された半獣人である。なので力は本当の狼男にかなわないので、武器などを使いながら戦う。
 その計画はヴェアウルフを五人作り、チームとして狼男が増えすぎる前に撃退することだった。
 五人では少なかったが、あまりにも時間がなかったのでこのようなことになった。
 ヴェアウルフにされた俺の名は晃(あきら)という。他には、
 淳(じゅん)、
 隼也(しゅんや)、
 遼平(りょうへい)、
 泰司(やすじ)
 がいる。
 そのときのヴェアウルフ(半狼男)作成方法は、完全体の狼男の力を注射と一定期間の治療により半分に弱めてそいつをヴェアウルフにしてしまう、というものだった。

【男性アイドルグループがヴェアウルフ集団にされるまで】

 俺(晃)と淳、隼也、遼平、泰司の五人はもともと男性アイドルグループとして活動していた。
 いわゆるジャニーズ系より男っぽさを強調していたグループだったのだが、俺たちが所属していた事務所は弱小で、大手事務所に所属している歌も踊りもそこそここなすグループの影に隠れて、あまり人気を集められずにいた。
 ジャニ系より少し男っぽさを強調したくらいでは、あまり目立たないため、社長が、
「ワイルド系への転換を図ろう!」
 といったのが、すべての始まりだった。
「ワイルド系」とはジャニ路線を捨て、浅黒い肌でイケメンの筋肉質で男くささまみれるグループにしようということなのだが……。
 もちろん反対意見も多かった。
「最近はさわやか美少年系がはやっているのだから、イケメンと言えども男くさいムキムキなグループは時代錯誤ではないか」
 や、
「一部熱狂的な支持を得るだけに終る、もう少し広く支持を得るようにしなければ生き残ることはできたとしてもいつまでたってもあまり売れないままだ」
 などなど……。
 それでも社長は断固として、
「いいや! ワイルド系にするべきだ!」
 と言い張った。
「しかし、ワイルド系にするにしても、筋肉トレーニングなど、時間がかかり過ぎますよ。しかも五人ですから」
 とスタッフの一人がいうと、社長は、
「それにいいものがあるんだ」
 そういっておもむろにカバンからサプリメントの容器に近いものを取り出した。その容器の中には白い錠剤が入っていた。
 容器には黒の背景に赤色文字で「狼男の肉体を手に入れろ!」と書かれているひどく怪しいものだった。小さい字で「筋肉質になりたい男のためのサプリメント」と書かれていた。
「しゃ、社長……」と俺は言った。「怪しすぎますよ、これ、絶対嘘だって。飲むだけで筋肉質になれるサプリメントなんて聞いたことありませんもん。ありえない」
「俺らもそう思う」とメンバーも同意する。
「いや、」と社長はいう。「俺の友人でこれを使ってムキムキになったやつがいるんだ。しかし突然行方不明になったんで詳しい事情は聞けなくて残念なんだよな」
「その人の筋トレという努力があったんですよ、たぶん」
「違うんだ、そいつは何もしていないのに筋肉質になったんだ。まあとにかくだな、だまされたと思って使ってみろ、な? んん?」
 ぐっと社長が顔を近づけて来る。マジの目をしている。俺たちはしぶしぶ了承した。
「わ、わかりました……」

 そのサプリメントの説明書には、
「この製品は狼男の精液から抽出された物質により構成されているため、効果は非常に高く、お客様から満足のゆく狼男の遠吠えを多数いただいております」
 と書かれていたが、そんなこと晃たちグループも社長も知らなかったし、知ったとしても信じないだろう。
 このサプリメントはただのサプリメントではなく、肉体を筋肉質にしてくれるどころか、狼男にさせてしまうものだったのだ。……

 俺はその日深夜に仕事を終え、帰宅した。
 例のサプリメントは社長がメンバーそれぞれの分を袋に小分けしたのをもらった。
 疲れて風呂も入らずにベッドに寝転がった。まぶたが重い。
 あのサプリメントの存在を思い出したが、飲むのも面倒臭かった。
 しかしまあ、体力が回復するかもしれない、と思い、袋からサプリメントを五粒取り出し、水と一緒に飲んだ。
 再びベッドにもぐりこみ、そのまま朝まで寝た。
 
 翌朝、とても体調がよかった。睡眠時間があんなに短かったのに、よく寝たときよりものすごく体の調子がいい。
 服を着替えた。ためしに鏡で自分の体を見る。別に筋肉質になっていなかったが、胸を触ると若干厚みが出ているような気がする。
 まあ、この程度は気のせいだろう。サプリメントを飲んだからそんな気がしているだけだ。ばかばかしい。
 着替えて朝にある番組にゲスト出演する予定だったので、急いでスタジオに向かった。
 スタジオには既にメンバーが揃っていた。
「なあ、効果出たか?」と俺は遼平にいった。
「何がだよ」と遼平は答える。
「あのサプリメントだよ」
「効果出るとしてもこんな早くに出るわけねえだろ。でも社長を満足させなだめだから、しばらく使うはめになりそうだ」
「社長、絶対マルチ商法にひっかかるタイプだよな」
 ははは、と遼平は笑った。

 それから俺は一ヶ月間そのサプリメントを飲み続けた。
 たぶんメンバーの中で誰よりも律儀に毎日飲んでいただろうと思う。
 誰かの頼みに弱いのだ、頼まれたことは断れない。そして頼まれると、一生懸命それを果たそうとしてしまう、面倒くさい性格なのだ、俺は。
 何より飲み続けてきたのはそのサプリメントを飲むと翌朝調子がいいからだった。
 それ以外の変化は特になかった。
 しかし一ヶ月を一日過ぎた日……俺の体には変化があったのだ。
(一ヶ月間サプリメントをとりつづけてきた「俺(晃)」の肉体に変化が起きたのは、サプリメントに含まれる狼男の精液が一定量体に蓄積されたからである)
 それは夜眠っているときに起きたらしかった。眠っているとき、体が締め付けられるような痛みと快感を感じたが、気にせずに何も確認せずにいたのだ。
 朝目を覚ますと、俺はベッドの上で全裸になっていた。
 パジャマは破れて周辺に散らばっていた。
 一体何が……と思って立ち上がり、洗面所まで行くと、鏡に自分の肉体が映った。
 そこで目を疑った。
 鏡に映っている俺の肉体は、浅黒い肌で、胸板が厚く盛り上がっており、腹筋はボコボコに割れていて、肩には筋肉が隆起し、肩幅は広く、腕は筋肉で太くなっており、足も筋肉が発達していた。
 目を引くのが逞しい胸筋だったが、それ以上に目立つのが激しく勃起している太く長い特大ペニスだった。
 カチコチのそのイツモツは、昨日の俺のそれよりはるかに大きかった。
「これ、俺、だよな……?」
 鏡を注意深く覗き込む。
 よく見ると太股にべっとりと精液が付着し、乾いていた。
 動揺にパジャマの一部やベッドにも精液は飛び散っていた。
 俺は夜寝ている間、激しい快楽を感じて何度も何度も射精したらしかった。どうしてだろう。こんなこと今までなかったからだ。
 なぜ俺はこんなムキムキになったのだろう……何もしていないのに。
 そこではっとした。あのサプリメントのおかげに違いなかった。
 顔つきも若干変化していた。少し精悍さが増している気がする。髭がうっすら生えていた。髭の似合う顔になっていたので、そのままにしておくことにする。
 まさしく「ワイルド系」だった。
 髪の毛が黒色だったのが茶色になっていた。眉毛も髭も陰毛もすべて茶色になっていた。
 これはもしかして、狼の毛の色だろうか。
 と思って、バカバカしくなった。そんなのありえない。これは何かの病気なのだろう。何の病気だろうか。サプリメントによる副作用かもしれなかった。
 逞しくなった自分の姿を鏡で見ているとムラムラしてきた。見なくともそのムラムラする性欲は増幅していく。
 激しく勃起した特大ペニスを握った。
「ぅう……」
 握っただけでいつもと違う強烈な快感がやってきた。それだけで射精してしまいそうだ。
 ベッドに寝転びペニスの根元を押さえ徐々に上へと擦るようにオナニーする。
「うっ、うぅっ、うおぉっ、おっ、ぉぉ……」
 いつもよりチンポは快感に敏感になっているような気がした。
「イクッ、クゥッ、うッ、うおおぉッ」
 チンポのカリの部分を激しく擦り亀頭まで達すると俺は盛大に射精した。
 ピュッ、ピュッピュッ、
 白い精液が布団やら俺の陰毛やら腹やらに飛び散る。いつもの数倍精液の量は多かった。性欲も精液も増したのだろうか?……

 あとで気づいたのだが身長も5センチほど高くなっていた。
 明らかに体格が良くなり筋肉質な肉体になった俺は他のメンバーの仲間にいろいろ言われた。
「その体、どうしたんだ? もしかして、あれか? あのサプリメントなのか?」
「ああ、たぶん、あの薬、一ヶ月くらいずっと飲んでたら今日の朝こうなってたんだ」
「マジか?」
 と、いう風に、俺の逞しい肉体を羨ましがり俺以外の淳、隼也、遼平、泰司も本格的に摂取しはじめた。
 二ヶ月が過ぎる頃には俺たちメンバーは全員ムキムキになり、驚きの効果を話し合ったりした。
 俺はゲイではなかったはずなのに、筋肉質になったメンバーを見ると自分の肉体を鏡で見たときのようなムラムラする感情を湧きあがってきた。ファック、という言葉が頭に浮かんだ。
最初に筋肉質になった俺に密かに質問をしてくるやつもいた。淳だった。
「俺さあ、」と淳はいった。声を潜めて、「実は、チンポまで逞しくなったんだが、お前もなったか?」
「ああ」
「そうか」となぜか淳は嬉しそうに言った。
「で、何なんだ?」
「あのさ、もしも、の話だけどさ。いや、ほんと、たとえば、の話だぜ?」淳はくどくどと言う。
 俺はイライラして、「なんだよ、早く言えよ」という。
「俺がもし、ゲイだったら、お前、どうする?」
「……!」
「なんかさ、最近俺、お前ら見てると、すげームラムラしてくるんだよな」
 俺は固唾を飲み込んだ。
 そのとき、この部屋には俺と淳しかいなかった。スタジオの狭い休憩室だ。他の三人は特別に打ち合わせがあるらしく、この部屋にいなかった。がやがやとした外の音があまりうるさく感じなかった。ここだけ別の空気が流れているようだった。
 横には淳が立っていた。淳は俺に密着するように来た。
「じ、実は、俺も、そうなんだ」と俺は答えた。
 淳はパンツとズボンを少しずらし、白濁させた液体を滲ませながら見事に反り返っている男根を取り出して、俺の太股に密着させていた。
 はあ、はあ、という淳の息が耳にかかる。
「まずいだろ、ここじゃ。鍵かけられねえしこの部屋」と俺はいった。
「これ以上我慢できねえんだよ」
「お願いだからやめてくれよ、ここでやっちまえばもう後戻りできなくなっちまうって」
「はッ!」と淳は嘲笑のような声を洩らした。
 かくいう俺はもう興奮してビンビンに勃起していた。
 俺はされるがままにズボンとパンツを降ろされ、引き締まった尻と逞しい男根があらわになった。
「や、やめ……」
「もうおせえっつの」
 俺の背中に淳の体が密着する。衣服の上からでも分厚い胸や腹筋などの筋肉の隆起が感じられ、ますます興奮した。
「はあ、はあ、はあ、」
 俺のアナルに淳の激しく勃起した特大ペニスの亀頭部分が触れた。
「うおぉ……」
 淳は快感のあまり声を洩らす。
 そのときだった。コンコン、というドアをノックする音がした。心臓が飛び出そうなくらい驚いた。かなり慌てた。
「あ、ちょっと待ってください」
 と俺たちは急いでズボンとパンツを着た。
 入ってきたのはマネージャーだった。今日のスケジュールについての話だった。俺たちはその話を聞いている間ずうっと勃起していた。

 他のメンバー全員俺のように激しい性欲と男にムラムラするようになってしまったらしい。
 仕事中は発散できないので、家でオナニーしまくった。一日20回も射精してしまう日があった。これは尋常ではない。普通の人間の男ではありえないことだが、俺にはそういった現象が起きていた。
 射精を何十回もするとペニスの大きさますます増した。
 やたらと肉が食べたくなり、サプリメントも社長が買ってきてくれる分のみまくった。
 社長は俺たちを見てサプリメントの効果に満足し、奮発したくさん買ってくれるのだ。
 一日サプリメントは20粒くらいになっていた。サプリメントを飲むと、激しく勃起して筋肉が盛り上がる感じがして、かなり気持ちが良かったからだ。
 ますます筋肉質な肉体を手に入れた俺は、仕事をこなしまくった。まったく疲れがこな
いので、どれだけでも働ける。
 見事「ワイルド系」への転換を果たした俺たちの人気は、うなぎのぼりだった。仕事が
殺到し、忙しかった。
 仕事の合間を縫ってトイレに駆け込む。
 トイレでメンバーは集合し相手のペニスを嬲ったりファックしたりして性欲をなるべく発散し、また新たな仕事に行く。そうしなければもたなかった。

 今日は歌番組に出演しなければならない。
 収録が始まり、メンバーで踊りながら歌っていると、俺はいままでにない強烈な飢えを感じた。性欲がいままでと比べ物にならないくらい高まり、激しく勃起した。
 全身が暑くなり、服を脱ぎ捨てたくなる。
 ジーンズだったため股間がもっこりとする心配は少なかったが、それでも見ると少しだけ盛り上がっている。やばい。
 汗がぼたぼたと落ちてきた。激しい動きをしていないのに、おかしいくらい汗が吹き出る。
 ドクンッ、ドクンッ、という心臓の音がはっきりと聞こえる。
周囲の人間はどうしたのかと俺を見た。その現象は俺だけでなく、淳など他のメンバーにもあらわれていた。
「な、なんだ……?」
 このとき、俺の肉体が狼男に変身しようとは、知る余地がなかった。
 汗は止まらず、俺は歌番組の最中だというのに上半身裸になった。服を脱ぎ捨てたのだ。脱ぎ捨てた服は観客席の方に投げた。
 厚い胸板と割れた腹筋があらわになり、観客の歓声がどっとあがった。ファンサービスとそれを観客は受け取ったようだ。
 俺は強烈な性欲に我慢できず、ズボンとパンツを脱いだ。全裸になったのだ。今度は観客の歓声はあがらず、会場は異様な空気となった。
 俺を見てたえきれずにメンバーも次々に服を脱ぎ始め、全裸になっていった。
 逞しいムキムキの肉体に特大ペニスを持つ俺たちに、周囲は唖然となった。
 俺は隼也のアナルに勢いよく挿入した。
=ドスッ=
 ギュッギュッと中に押し込めて行く。隼也を抱き寄せるようにして、体を密着させた。
「うッ、うッううッ」
 すっぽりすべて入ると俺より先に挿入されている側の隼也は射精してしまっていた。
 俺は挿入を終えると腰を激しく振った。徐々に腰を振るペースを上げていき、射精を繰り返す。
 射精を繰り返すうちに、精液がローションのような役割を果たすようになり俺はますます激しく腰を振った。指を隼也のアナルに突っ込んだりもした。
「うおッ、おッ、おぉ」
 他のメンバーもそれぞれ乱交していた。まさしく獣のファックだった。
 俺は最後に淳に何度も犯され、その後に今度は俺が淳を犯した。
「イク、イク、イクゥゥゥゥゥッ!」
 ピュッピュッ、ピュッ、ピュッと俺は連続して射精した。体を突き抜けるような快感がした。
大量の精液がドクドクドク……と淳の中に注ぎ込まれる。
 その瞬間、激しい衝撃を感じた。
「ぉ……ぉお……」
 筋肉がぴくぴくと反応し、全身が痺れたようになり、吐き気もした。俺は叫んだ。
「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
 叫びながら俺の肉体はどんどん変貌を遂げていった。
 ただでさえムキムキの肉体はさらに筋肉がついていく。
 ミシミシ、という音を立てて胸板はさらに分厚くなる。
 腹筋は一つ一つが隆起するようになって、腕は筋肉で人周り太くなり、肩にも筋肉は盛り上がり、首は太く、足も非常に発達した。チンポも赤黒さが増し大きさもかなり凄くなった。
「うッ、うッ、うおッ、うおォッ」
 筋肉の盛り上がっていく快感は凄まじく、俺は何度も射精してしまった。
 眼光が鋭くなり、鼻が前に突き出ていく。牙が生え、爪はタカのように鋭くなる。人間の耳が消え、頭の上部に獣の耳が生えてきた。
 背骨が浮き出るようになり、少し猫背気味になった。
 ボキボキ、という音がして、激痛とともに身長が伸びていく。
 全身に力が漲る。
 体毛が濃くなってきた、と思うと茶色の剛毛が俺の全身の筋肉を余すところなく覆いつくした。
「アオオオオオオオォォォォォンッ!!」
 そうして俺は狼男になった。
 他のメンバーも次々に狼男へと覚醒した。

 気がつけば俺はベッドで横たわっていた。
「ここは……?」
「特別治療室だよ」
 返事を期待していなかった俺は、突然の声に驚いて周囲を見回そうとした。しかし、なぜか首が動かず、手足も動かせなかった。
 ジャラ……という冷たい音が聞こえた。どうやら俺は全裸の状態で鎖で体のいたるところを縛られているようだった。
 周りには人はいないようだ。スピーカーからの声だったらしい。
「ようやく気がついたようだな、狼男」
「狼男……?」
 そこで俺ははっとした。そうだ、俺はスタジオで狼男に変身して、メンバーとファックしていたのだ。それからどうなったのだろう。
 狼男になったというのがいまいちリアリティがなく、俺はぼーっとしていた。
「これが証拠だ」
 と、俺の目の前にはモニターが現れ、そのモニターにはスタジオで回っていたカメラが撮影したであろう映像が映っていた。
「どうだね? これでようやく納得したかね」
とスピーカーの声の主はいった。
「……」
 今度は鎖で頑丈に縛られている今現在の俺の姿がモニターに映し出された。
 そこに映っている今の俺の肉体は人間の状態だが、逞しい筋肉質な肉体だった。
 どうやら俺は、本当に狼男になったようだった。
「しかし今の君は、狼男ではない」
「はあッ?」
 意味がわからなかった。狼男であると言う証拠を見せられた次に、今度は狼男ではないと言われる、わけがわからなかった。
「君はヴェアウルフになったのだ。狼男ではない」
「なんだそりゃ」
「狼男と限りなく同等の力を手にした人間のことだ。君たちは見事ヴェアウルフになることができたのだよ。ヴェアウルフは実際の狼男の力と暴力性をおさえつけなければ作れない、成功例のたいへん少ないものでね、その成功例がまさしく君なのだよ!」
「……」
 研究オタクっぽい口調で熱心に語られ、キモ、と俺は思った。
「これから君には『狼男』と戦ってもらう。君の他のメンバーとともにだ」
「いきなり過ぎて意味わからねえっつの」
「……とにかく君たちにはこの任務を遂行してもらわなければ、日本中狼男だらけになってしまう危険が出ているんだよ。だから君たちメンバーには、自分たちがメンバーだという記憶以外すべての記憶を抹消させていただく」
「おい!」
 と叫んだところで、俺の意識はぷつんと切れた。

  ●

……おいッ!
……おい! 晃ッ、行くぞ、任務だ。
……ダメだ、完璧寝てやがる。
……無理矢理でも起こせばいいじゃないか。
……さっきから何度も殴ってんだけどなあ、ぜんぜん起きねえんだよこいつ。
 ガン! という激しい衝撃に俺は目を醒ました。
「うッ……」
 なぜか股間がひどく痛む。
「ようやく起きたか、晃、任務だ」
「あ、ああ」
 人間が避難しているシェルター近辺に狼男が集まって、そのシェルターに侵入しようとしているらしい。それを食い止めるのが今回の任務だと聞いた。
 どうして俺たちがこんな危険な任務を負っているかと言うと、俺たちが普通の人間ではないかららしい。
どうやら俺は交通事故を起こして、生と死の間を長くさまよい、目を醒ますも記憶喪失になりさらに植物状態になっていたと聴いた。そこに俺を「再利用」する目的で人間の姿をしているが人間ならざる「ヴェアウルフ」の実験に使われ、見事成功し、今の俺にいたる。
 俺は記憶喪失状態であったらしいから、この情報が正しいとは断言できないのだが、今はこれを信じるしかない。
 しかし俺は、今の自分に満足していた。ヴェアウルフになったおかげで逞しい肉体と特大ペニスを得ることが出来たからだ。

 たくさんの武器や防具を装備し、俺たちはその現場へ出向いた。
 案の定そこには頑強な肉体をした獰猛な狼男がけっこうな数いた。他のメンバーには秘密にしているのだが、俺は狼男を見るとなぜかいつも勃起してしまう。狼男のかっこよさというか、逞しさというか、そんなものに俺は反応してしまっているのだろう。
「行くぞ!」
 と俺たちは駆け出し、狼男どもを次々に殺していった。訓練でおこなったとおりに武器を操ると、俺たちは狼男と互角に戦えた。
 今日は相手の狼男の数が多すぎたようで、前に気を取られていた俺は、後ろから襲ってきた狼男に捕まってしまった。
「晃!」
 と遼平が叫んだ。
 他のメンバーもそれに気づいて俺を助け出そうとしたが、他の狼男に阻まれ、それは出来なくなった。
 俺は一匹の狼男に連れ出され、狼男の本拠地と呼ばれる廃ビルに連れられた。
 そこには大量の狼男がいて、俺は殺されるのを覚悟した。
「おい、こいつ人間の癖にすげえ強いんだよ」
「……」俺は黙って狼男の会話を聞くことにした。
「マジかよ。確かに俺たちと似たような臭いがするけどな」
「敵に回したら厄介だが、こいつを味方にしたら、こいつの所属している狼男を殺すとかなんとかいってるメンバーを壊滅できるんじゃねえのか?」
「そうだな」
 というふうに、会話はどんどん進んだ。俺はおびえた。
 次の瞬間、俺は大量の狼男に服を脱がされ次々に犯されて行った。
狼男は俺をうつ伏せにさせボクサーパンツを降ろさせると、逞しい肉体を重ねてきて、同時に特大サイズのペニスを俺のアナルに突っ込んできた。
「うおッ、おおッおおおおおお、」
 狼男の巨根に掘られ、激痛に俺は叫んだ。しかし何故だろう、ひどく快感でもあった。
 後ろから犯されたまま強く抱き締められた。俺は両手を他の狼男に縛られた状態で、俺を犯している狼男は空いている両手で俺の逞しい胸板に触れ乳首を刺激した。
「あッ、ううッ、うっ」
 次は仰向けにさせられ、狼男の男根を咥えさせられた。俺はその大きなペニスを必死になって舐めていた。しばらくすると俺の口の中は精液で満たされ、それを残すことなく飲み込んでいった。
「こいつ、なかなか素質あるな」
 という狼男の言葉が聞こえた。
 俺のアナルには誰かの指が突っ込まれ、そのままズブズブと掘られていった。ケツの穴を広げられ、そのあとさらに指よりかなり太いペニスが挿入された。
=ドスッ=
「うっ!!」
 しかし俺は射精しないように必死に我慢した。射精したら俺は……。
 段々我慢の限界が近づいてきた。
 あまりの快感に俺は膝をガクガク震わせ、射精した。
そのとき俺の脳裏に失っていたはずのすべての記憶がよぎった。
「うぅゥッ」
 そして俺は、自分が元々狼男だったことを思い出した。交通事故に合ったという情報は嘘だということがわかった。
 俺は犯された後これ以上犯されまいと理性が働いて、反射的にボクサーパンツをはきなおした。
 その直後に、俺の肉体はさらに進化していった。
「うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ??ッ!」
 意識が朦朧とする。チンポが激しく勃っていた。俺の肉体はミシミシといいながらみるみるうちに逞しくなっていく。
 ドクンっ、ドクンっ、という心臓の脈拍がはっきりと聞こえた。 胸筋は厚く盛り上がり、腹筋は見事に六つに割れ、腕は太く逞しく、肩幅は広くなっていく。背中にも筋肉は盛り上がるようについていく。
 男根は白濁した液体を滲ませながら反り返り、ビクンっビクンっと快感に反応し射精を繰り返していく。
「うっ、うォ、っ、おおっ」さらにペニスは極太長大になっていく。その大きさにボクサーパンツは今にでも破れそうだった。
「うっうっうっうっ」
 急激な肉体の進化は俺に最高の快感を与えていた。ペニスからは絶えず精液がピュッピュッと飛び出している。
「あッ、うぉ、うぐぅッ!」
 普通の人間ではありえない速さで俺の肉体は狼男にと進化を遂げた。
 き、気持ちい……。
 ヒビの入った鏡が床に散らばっているところがあったので、俺はそこにいき自分の姿を見た。
 そこにはさっきまでなかった精悍な鋭い眼光になっている俺がいた。鍛え抜かれた肉体はヘビー級に匹敵し、小麦色に盛り上がる皮膚が男らしさを強調していた。
 少しでも歩くとボクサーパンツを突き破ろうとするペニスは大きく左右に揺れ、ぴたっ、ぴたっ、と太股に当たった。俺は我慢ができなくなりパンツを脱いだ。
開放された俺の股間には、黒々とした陰毛に囲まれたズル剥けペニスが凄まじい勃起力で反り返っていた。長大・極太サイズのその男根は先端からぽたぽたと白濁した液体を滴らせていた。陰毛の量はあきらかに多くなっており、もっさりとしていた。
 勃起して拳三個分ほどの特大サイズの赤黒いペニスには、太い血管が絡みつき、その亀頭はボールのように膨れ上がっていた。
 身長は180を超え、胸筋は分厚く盛り上がり、腹筋はボコボコに割れ、、、と、さっきまでの俺が華奢に思えるほどの逞しい肉体を手に入れることが出来たようだ。
「す、すげぇ……」
 周りの狼男の一人が俺を見ていった。
 まだ狼男に変身していない、人間の状態でここまで鍛え抜かれた筋肉と逞しいペニスを手に入れた俺に周囲は驚いていた。
 それは俺が元々ヴェアウルフだったからなのだろう、理性を保っていた。この程度の狼男とのファックでは、変身までは至らないと言うことか。
 もっと狼男の精液を体内に取り込み、同時に俺はこのたまりに溜まった性欲と精液を発散したくてたまらなかった。さっきから俺のペニスは指を一本触れただけで精液がとめどなく溢れるような状態なのだから。
 今度は俺が狼男を犯していく番だ。
 俺は一匹の狼男を捕まえ、そいつのアナルに何の前触れもなく俺の反り返った特大男根を挿入した。
 ズブズブズブ……と逞しい男根をアナルに入れていく。ペニスは強く圧迫されたようになり、俺は「うぅ」と快感に声を洩らした。「うっうっうっ」
 ファックがこんなに快感に感じられたのは初めてだった。
「イクっ、イクっ」
 と激しく腰を振っていく。
 どうにかすべて挿入しおえると、相手のうなじや逞しい背中を舐め、俺がさっきやられたように乳首を弄ってやると、狼男は快感のあまり叫び、俺のトリコになった。
 俺は射精する。一度の射精で大量の精液が飛び出した。相手のアナルから精液があふれるほどだった。
「うおおおおおおおおおおォォォォォォ!!」
 震えるような快感に俺はゾクゾクした。
 精液はどんどん作られ、俺はどんどん放出していった。射精が二十回を超えた。

 それからも俺 (晃) は大量の狼男共に犯され続け、そして完全なる狼男へと俺は変身を遂げようとしていた。
 もともとヴェアウルフだった俺は、狼男にヤられることで人間の状態でも普通の狼男に匹敵する肉体を手に入れることが出来ていた。そこからの進化なのだから、興奮せずにはいられなかった。
「あっ…うっ……」
 俺は地面に倒れて身体を丸め、心臓を押さえた。
 心臓がものすごい勢いで鼓動しているので痛くてたまらなかった。ペニスからは既に我慢汁が滴り落ちている。
「あがっ……ぐ、ぐぐっ……」
 身体の内側から破裂しそうな苦しみに俺は悶えた。血液が異常なスピードで全身を駆け巡る。汗がぼたぼたと流れる。
 見事に勃起した極太長大ペニスはカチコチに硬くなり、ペニスに絡みつく、浮き上がった太い血管もわずかに膨らんでいた。ペニスのカリの部分は小さなボールのように膨らみあがり、黒々とした俺のデカマラは白濁した液体を滲ませていた。
 全身の筋肉はピクピクと痙攣した。
「ぁ……ぁぁ……」
 声がうまく出ない。喉がカラカラになっていた。
 指先に痛みが走った。手を見ると、指先からは少量の血が流れていた。手の平の面積がゆっくりと大きくなっていった。指は太くなっていき、爪は大きさと鋭さを増していく。
「……っ……うっ」
 体毛がどんどん濃くなっていった。体毛は黒色ではなく茶色に変色していく。たぶん髪の毛も茶色になっているだろうと思った。
 もう一度手を見ると手は茶色の剛毛で覆われ獣のそれになっていた。
「!」
 全身がしめつけられるようだった。胸板はさらに膨らんでいき、腕や足の筋肉も膨らむように発達していった。ミシミシミシ、という音を立てながらさらに分厚く隆起した胸は逞しかった。
 腕や足はぶっとくなり、すべてをなぎ払えそうだった。
 腹筋はさらにそれぞれの割れ目がはっきりしていき、ひとつひとつのボリュームが上がり見違えるようだった。首も太くなっていき、肩に筋肉が岩のように盛り上がる。
「う、うう、ぅうぅ、……」
 呼吸が荒くなる。
 筋肉がゆっくりと凄まじい発達を遂げている最中、その快感にペニスはビクンっ、ビクンっ、と反応し繰り返し射精していた。射精するたびにペニスはさらなる快感と大きさを手に入れて行く。大量の精液は四方八方に飛び散り、俺の太股や胸や腹筋に付着したりした。
 腰のラインが鋭くなり、尻は引き締まり、肩幅が広くなった。骨がボキボキと不快な音をたてながら、身長が高くなっていく。
「う、うおっ、ォォ、おおおっ、」
 頭から獣の耳が生えてきた。顔が変形していき、口が前に突き出し、さけた口からは血がぽたぽたと落ちていた。しかし痛みはなかった。鼻が前に突き出し、黒っぽい色の鼻に変わる。歯はどれも鋭くなっていき鋭い犬歯が異常に伸びた。眼光は鋭くなり、顔は剛毛で覆われた。まさに狼の顔だった。
「うおォっ、うおおおおおおおぉぉぉぉぉ??っ!!」
 筋肉質な肉体から剛毛があますところなく生え、俺は狼男へと変貌を遂げた。
「ハッハッハッハッハ……」
 逞しい肉体の狼男に変身した俺の性欲はとまらなかった。性欲がオーバーフロートしたようになって、俺は近くにいる仲間を徹底的に犯していった。
 俺のペニスは普通の狼男のそれよりも長く太いので、それがビンビンに勃起するとそのペニスでヤられると凄いらしく、俺に犯された狼男は快感に叫び声を上げた。
「うっ、うっ、うっ、」
 俺は自分の特大ペニスを相手のアナルに無理矢理ねじ込んで行く。腰を最初はゆっくり、少しずつ激しくしていく。
「イっ、イクっ、イクぅぅぅぅぅッ」
 俺は限界まで我慢し、放出した。
 ドシュウウウウウウウ!!
 大量の精液が飛び出す。一度の射精でもあまりにも量が多かったためアナルからは俺の精液があふれた。あまりの気持ちよさに俺は震えた。
 相手に足を絡ませ、逃がさないようにがっちり固定し、何度も犯した。狼男になって俺の射精は二十回を超えた。
「うおッ、うおッ、う、うぐぅッ」
 今度は俺が犯される番だった。狼男に周囲を囲まれ身体を固定され、思うがままに犯された。犯されながらも俺は足の裏から脳天までを貫くような気持ちよさに射精を繰り返した。精液が俺の身体を汚して行く。
「アオオオオオオオォォォォォンッ!!」
 俺は叫んだ。
 狼男の快感に、俺は恍惚とした。
 ここ一体の狼男集団で一番逞しい狼男になった俺は、ここのリーダー的存在となった。

 ヴェアウルフ集団にいたころの仲間にも、この狼男の快感を教えてやり、狼男の仲間に入れたくなった。
 その昼、俺は全裸で、人間の姿でヴェアウルフ集団のいる場所、街へと向かった。
 街に到着したときには、夜になっていたため月の光を浴び俺は狼男に変身した。
 狼男がいると聞きつけて、かつてのヴェアウルフの仲間たちがやってきた。
「よう」
 と俺は声をかける。
「俺は晃だ」
 仲間たちは俺の変わり果てた姿を見て、驚き口をあけてこっちを見ていた。
「あ、晃、お前……」
「ああ、俺はな、狼男に犯されちまって、それで俺も狼男になったんだ」
「……」
「だが、ぜんぜん後悔してないぜ? むしろ嬉しいくらいだ。すげームキムキになって、しかもチンポはでっかくなるわ、射精の快感は凄いわ、いいことばっかりだぜ? だから、お前たちも俺と一緒に狼男にならないかと誘いに来たんだ」
「断る」
 全員が即答した。
「……即答か、その通りだよな。でもな、ヴェアウルフが狼男になると、人間の理性を保ったままで、しかも通常の狼男より逞しくなれるんだぜ」
 メンバーの中の一人、淳の目が揺らぐのを俺は見逃さなかった。

 翌日、俺は淳が一人で街を巡回警備するのを見計らって近づいた。センサーなどをよけるのは、もともとヴェアウルフとして活動していた俺には楽勝だった。
「おい」
 と俺は声をかける。
 後ろから声をかけられた淳は、驚いてびくっと身体を震わす。こちらを振り向いた。
「……晃か。俺に何の用だ」
 俺は今人間の状態だった。
「お前、実は狼男になりたいって思ってねえか?」
「!」
 淳は目を丸くする。
「図星のようだな」
 と俺はほくそ笑む。
 俺は淳に近づく。淳は銃を構えた。が、打つ気配はなかった。
「ほら、俺の肉体を見ろよ。人間の状態でもこんなにすげー体になれるんだぜ?」
 クク、と俺は笑う。
「い、いや、だ」
 と淳は答える。が、悩んでいることは明らかだった。動揺している。
「お前も一度この快感を味わえば決断するだろう」
 と俺はいって、狼男に変身した。
「うおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ??ッ!!」
 全身の筋肉が発達し、ペニスはカチコチに勃起し、剛毛が逞しい肉体を覆いつくした。骨格が変わり、俺は狼男へとあっというまに変身した。
 その様子に圧倒され淳は驚いた顔をしていた。
 俺は淳の服を鋭い爪で切り裂き、裸にさせて俺の極太長大ペニスを淳のアナルに突っ込んだ。
「うぐッ!」
 淳は叫ぶ。
 俺は腰を激しく振る。
「うっうっうっうっ」
 俺が射精すると淳はあまりの快感に苦しそうに顔をゆがめていた。ここで射精したら淳は狼男になる第一歩を踏み出すことになるので、淳はそれを必死で我慢していたのだ。
「やっ、やめ、て、くれ」
 しかし、淳は快感が絶頂に達すると狼男になることを段々受け入れるようになった。
「お、俺を狼男にしてくれ」
「いいぜ」
 俺はニヤリと笑い、淳をイかせた。
「うおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉっ!」
 次の瞬間、淳の肉体は変貌を始めた。胸板が分厚くさらに盛り上がり、腹筋はボコボコに割れ、肩幅が広くなり、肩にも筋肉が盛り上がり、足や腕がぶっとくなり、ペニスは射精を繰り返しながら極太長大サイズを獲得していく。
 何年もジムに通い詰め鍛え上げられたような肉体を、狼男の精液を受け入れることで淳は十分程度で手に入れることになった。
「は、はは、ははは、はははははは」
 淳は笑った。
「最高だな、これは」
「ああ、だろ。次はお前を完璧な狼男に覚醒させる必要がある。俺みたいにな」
 そういいながら俺たちは獣の激しいファックをした。

 俺は、淳を完璧な狼男に仕立て上げるために、淳を一晩中犯し続けた。口に俺のデカマラを突っ込み何度も放出したり、アナルに挿入し射精したり、淳の逞しい胸にぶっかけたりと、とにかく、狼男である俺の精液を存分に吸収させてやった。
 淳の全身の筋肉を触りながら、俺はゆっくりと淳のアナルにペニスを沈めて行く。精液が潤滑剤となって、思いのほかスムーズに挿入されていく。
「うぅ……」
 俺は声をあげた。淳は気持ちよさに表情がゆがんでいる。
「おっ、おおっ、おっ…」
 と淳は声を洩らす。
 俺は狼男に変身した状態でヤったり、人間の状態でヤったりと、ファックの快感を楽しんだ。かれこれ俺は二十回以上射精しているんじゃないだろうか。
 夜、淳が警備していた公園周辺の路上で、だ。ここは公園くらいしかない、街の中でも隅の方になるので、夜になると人は極端に減り、誰もいなかった。
 公園の淡い電灯の光だけが俺たちの逞しい肉体をぼんやりと照らした。
 俺の精液を大量に体内に取り込んだ淳の身体は、俺が犯せば犯すほど、俺の人間の状態の肉体に匹敵するほど逞しく筋肉質になっていった。ペニスも逞しくなっていく淳を見て、俺はひどく興奮した。
もう少しだ、もう少しで淳は俺のような狼男に変身する。そう思うと、いてもたってもいられない気がした。
 そのときだった。
 狼男討伐隊であるヴェアウルフの隼也、遼平、泰司がやってきて叫んだ。
「淳っ! おい! 大丈夫か!」
 どうやら真夜中になっても戻ってこない淳を探してここにやってきたらしい。
 俺に犯されている淳を見て、隼也は、
「お前……っ、よくも……!」
 俺はクツクツ笑い、言った。「もう遅いぜ」淳から離れ、公園の入り口付近に行く。
「大丈夫か!」と、三人は淳のもとに駆けつけた。淳が俺の精液塗れになっているのを見て、絶句した。
「うぐぅっ!!」
 と淳は叫んだ。
 最終段階に入ったようだ。これから淳は人間である状態で作られた精液をすべて外に出す。
「あぅ、うっ、ううっ、ぐっ、ぅ……!!!」
 ブシャ!ブシャ!ブシャアアアアアア!!
淳はペニスを、ビクンっ、ビクンっ、とさせながら射精を繰り返していた。
 淳の髪の毛は逆立ち、痛みと快感に身をよじっていた。
 胸は弾けるように筋肉が盛り上がり、堂々とした逞しい胸板が完成した。腹筋はボコボコに割れ隆起する。肩には岩のような筋肉が盛り上がり、首は太く、尻は引き締まる。足や腕も太く、逞しいものに変貌を遂げる。
「うっ……あっ、ぁ……」
 淳は今まで味わったことない強烈な快感に声もあまり出せないようだった。
 鼻は前に突き出し、目つきは鋭く、獣の耳が生えてきて、牙が出来、爪はタカのように鋭くなる。全身から銀色の毛が筋肉を余すところ無く覆いつくす。
「う、うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!」
 そうして淳は俺のような完全な狼男へと変貌を遂げた。
 狼男になった淳はニヤリ、と笑った。俺も笑った。
「じゅ、淳……お前……」
 三人はそう言ってまたもや絶句した。
「あ? 俺のことか?」へへ、と淳は笑う。「すげーだろこの肉体。しかもかなり気持ちいいんだぜ?」
「し、しっかりしろ淳! お前はやつ、晃に惑わされているだけだ」と隼也は必死で説得しようとしていた。
「そんなこと言っても遅いぜ。だって俺もう狼男になっちまったんだ」
「お、遅くはない、これからもとに戻る方法を探せば……」
「嫌だっつの」
「え?」隼也は目を丸くする。他の二人は呆然とその様子を見ていた。
「後悔なんかしてねえぜ。むしろ最高の気分なんだ。な、晃」
「ああ」俺はうなずく。
「見ろよこれ」と淳はビンビンに勃起している自分の特大ペニスを握る。我慢汁が滴り落ちている。「もう我慢できねえ」
 そういって圧倒的なパワーで隼也を押し倒し、服を鋭い爪で裂き全裸にさせ、剥き出しになったアナルに自分のものを一気に挿入する。
「うおっ」隼也は叫ぶ。
「隼也!」他の二人は隼也を助けようと動き出した。「おっと、お前らの相手は俺だぜ?」俺は後ろから二人に近づき、同時に相手をした。

 その後、最強の狼男討伐隊と呼ばれた俺たちが、最強の狼男五人組へと変わったのは、述べるまでもない。



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